【2021年版】設計士のための抗菌塗料ガイド【実験検証あり】 » 菌の専門家が解説・ウイルスのお話

菌の専門家が解説・ウイルスのお話

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衛生管理のコンサルタントとしても活躍されている、衛生管理の専門家・青木 皐(のぼる)先生に、ウイルスについてお話を伺いました。菌とはどのようなものかといった基礎知識から、介護施設やクリニックでの抗菌塗料の選び方までわかりやすく解説いただいています。

そもそも「抗菌」とは

「抗菌」には法的には定義がない

実は、抗菌には法的な定義がありません。定義があるのは、「滅菌」と「消毒」の2つ。これらは、薬局法で定められています。「滅菌」とは、微生物をゼロにすることをいいます。ゼロというのは、生きているものが殺されてゼロというものだけでなく、菌体をすべて除いた状態も同じ。微生物が活性しない状態を指します。

「消毒」はその字の通り、毒を消すことをいいます。しかし、「ここまで菌が減ったから消毒」という定義はありません。例えば、手を洗うことは「消毒」。私たちは、「消毒薬を使わないと"消毒"とは言わない」と思いがちですが、これは大きな間違いなのです。抗菌というのも、「これだけ菌がなくなれば抗菌になる」という定義はありません。「除菌」も同様です。

そもそもウイルスは「生き物」ではない

ウイルスというものは、生き物ではなく、単なる「粒子」のこと。壁に付着したとしても、増えることはありません。ウイルス自体が生きた生物の細胞に付着したとき、はじめてウイルスが生き物として活性します。

今、コロナが流行していますが、コロナウイルス自体は空中にいても害はありません。人間の肺の細胞につき、肺の細胞の遺伝子を使って、自分の遺伝子を増やしていくのです。ウイルスそのものは、壁についていても増えることはできません。では、カビがついたらどうなるか。

例えば、お家のクロスにカビの胞子が付くとします。大きさでいうと、0.001mmから0.0001mmくらいの小さなものです。それが空気中にたくさん飛んでいて、壁紙に付着すると、そのままではなんともないのですが、この壁紙が加湿して湿気を持つと、そこでカビが根を出して増えていくのです。

カビは壁紙を食べ、色素を出します。カビが生えると黒くなるのはそのせいです。それがどんどん増えていくと、やがて壁紙の糊を食べて、壁紙が外れてしまいます。

このようなことを防ぐには、どのような方法があるのでしょうか。抗菌塗料を選ぶ際のポイントは3つあります。

抗菌塗料を選ぶ際のポイント

介護施設や病院などで抗菌をするために塗料を選ぶ際には、以下の3点についてメーカーの方に相談してみると良いでしょう。

1.化学薬品の入っているもの

まずは、抗ウイルス作用や防カビ作用のある高性能塗料を使用することがおすすめ。またその塗料が「不活化させるものなのか」も大事です。 不活化とは、微生物などの病原体を熱や紫外線、薬剤などで死滅させること。化学薬品による不活化の効果を明記している塗料を選ぶこともポイントです。

2.pHを調整したもの

pHとは、水素イオン濃度の略称であり、溶液中にある水素イオンの濃度を指します。1~14まで値があり、例えばお水は7、お酢は4くらいです。1は「強酸」と呼ばれる酸。これは生物を溶かします。アルカリ性の高いものにしておけば、カビは生えにくくなります。

3.光触媒のもの

今から主流になる光触媒塗料もチェックしておきましょう。光触媒とは、太陽光などの紫外線の力で殺菌や汚れを分解できる機能を持った塗料のこと。自分で手を加えなくても勝手にキレイを保てるため、お手入れがラク。水に対しての親和性が高いため、分解された汚れが塗膜に浮かび上がり、雨が降ればそのまま洗い流してくれるといった嬉しい働きもあります。

菌をなくす方法として重要なのは「乾燥」です。細菌もカビも水分が大好き。乾燥を保てば菌を減らすことができます。

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塗り直しの頻度はどれくらいかを把握しておくことも重要

化学薬品の入った塗料は、気温や光などで劣化していきます。そのため、どのくらいの頻度で塗りなおす必要があるかをしっかり把握しておくことも重要です。 塗装した部分は清潔でも、そこを触ってしまうと手垢等がついてしまい、また細菌が増えていきます。

常にクリーニングをして綺麗な状態にしておかないと、塗装面の抗菌力が落ちていきます。間違ったクリーニングをして効果を半減させないためにも、クリーニング方法は事前にメーカーの方に質問してみると良いでしょう。

監修・青木 皐(のぼる)先生

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1943年兵庫県芦屋市生まれ。医学博士(バイオメディカル・サイエンス)、(株)コントロール・ラボ相談役。菌を愛する、菌の研究家。「ここがおかしい菌の常識」(集英社文庫)「ビジュアル図解 よくわかる菌のはなし」(同文舘出版)など、菌に関する書籍を多数出版。

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